指導について思うこと

 日々指導について思うことをメモ風にまとめましたので、
自分の備忘録ということも含めてあげておきます。

1.見る力、集中力とやる気の問題
子どもの例
①計算は好きですぐするのに、国語の問題になるとあくびをしたり、よそ見をしたりしてしまう子ども
②文を読むときに行とばしやかって読みの多い子ども
③見たことを言葉で表すのが苦手
④本読みでかって読みが多い
⑤勉強をしているとき時々ボーとしている
⑥授業中によそ見をしたり手悪さをする
⑦席立ちをしばしばする
⑧先生の話をきいていない。
⑨手悪さをすぐにはじめる
⑩席に座っているのがやっと
⑪あくびをする
⑫よそ見をする

 例えば上記のような状態のままで、いきなり学習にはいっていくことはできません。ある程度のやる気と集中力がないといくら良い教材を提示してもこれでは取りかかりのところでつまずいていてその教材にたどりつくことができません。
 私どもでも、課題への取り組みをいかにさせるのかというのが、指導を進めていく上で大きなポイントとなります。いわゆるある程度「言うことがきける状態」へもっていかなければ、本格的な指導を行うことができません。

 さて、こういったお子さんをどうしたら素直に課題にむかわせることができるのか、それを妨げているものはなにか。またどうすれば学習にむかうレディネスを付けることができるのか。
 
 こういった特徴をもつお子さんのWISCなどの結果を見ると、どのお子さんも「視覚」「視覚記憶」等といった見る力に弱さを持っている子供さんが多いことに気がつきます。
 例えばこういったお子さんの例があります。IQはかなり高く120ぐらいのお子さんですが、じぶんの興味のあることに対してはこだわりをもってしますが、苦手なことに対しては手を出そうとしないお子さんで、絵をかくのは苦手、迷路などもしようとしない。検査をしてみると、視覚、見る力が弱いという結果が出ています。 それから、課題をしている途中でわけもなく顔をあげ、関係のないほうをボーと見ているそうすると気持ちがなかなかもどらないということもあります。このお子さんに模写などをさせてみると、形がいびつになってしまうということがままあります。
 また、落ち着きがなく、すぐに席を立って歩き回る、嫌いなことにはすぐにあくびが出てやる気が減退してしまう。こういったお子さんの場合検査をしても本気でしようとしないのでそれだけでも悪い結果が出てしまいます。で、そのお子さんに記号の模写などをさせてみると、位置をあわせることができない。ことが起こってきます。
 これらのことがおこってくる原因は、一概に全ての原因を1つのことに帰するのにはいささかの抵抗感もありますが、その原因の大きな要素を占めているのは、「見る力」が弱いと言うことです。
 この場合の見るということは言うまでもないことですが、見えているかどうかという一次的なことではなく、見えているもののどこに注目したらよいのか解らない、見えているものがどういった意味を持っているのか価値判断ができないということがあります。

 こういった特徴をもっていることが原因で、行動上の問題を起こしているお子さんに対して、いくら口頭で「ちゃんとしなさい」「席に着いていなさい」「あくびをしない」などと言っても、効果がないということは言うまでもありません。むしろそのことがよくわかっていて、自分でもコントロールができないと思っているお子さんの場合は、「しようともってもできない」となり、逆に反発を招き、その子どもとの関係がこわれてしまうことにもなりません。
 ですから、最初に挙げた問題点を解決するためには、この「見る力」を付けてあげることが必要となってきます。この「見る力」が、落ち着いて勉強したり、集中して課題に取り組んだりするときのレディネスとなるのです。

 ではこのレディネスとしての「見る力」を付けるためにはどうしたらよいのでしょうか。これに対しては、様々なアプローチの仕方があると思います。例えば行動療法といったものもあります。「遊育療法」もこの1つです。私のところでは、体を積極的に動かしてということはできませんので、主にプリントを使った指導を行っています。
 それがこれらのプリントです。また、国語の漢字の練習などにも、この「見る力」を付けるための要素を取り入れています。


2.ことばの力、ことばの問題
 軽度発達障害児はことばの遅れをかかえていてこれが学習のつまずきの原因となっている場合が多いのですが、私どもが気付く主な問題点をつぎに挙げてみます。
①音読などをすると変なところで区切って読む子ども
 春に なって さくらの花が さきました。
 はる になってさ くらのはな がさきました。
②語彙が少ない
③言葉は知っていてもそれを説明できない
④知識に偏りがある
⑤色々なことを経験してもそれを言葉で表すことができない
⑥感想などを聞くといつも「楽しかった」という紋切り型の答えしか返ってこない。

 こういったことが起こってくる原因を考えてみると、やはり最大の原因は「ことばの遅れ」が原因と考えられます。このことばの遅れには大きく分けて2つあるのではないかと思っております。1つは、知っていることばの量が少ないということ。すなわち「語彙が少ない」ということです。もうひとつは、知っていることばでもその質的なものが薄いということです。この2番目のことについてはもう少し説明がいると思いますので、少し説明します。
 例で挙げている③や⑤、⑥といったところが最も関係していることですが、軽度発達障害児のもつ「ことばの遅れ」のひとつの特徴ではないかと思っています。軽度発達障害児はことばを全く知らないこともあるけれど、それよりも多いのは「ことばは知っていても、それがなにかを説明するのが難しい」という状態が多いということなのです。
 「ことばは知っていても、それがなにかを説明するのが難しい」状態について少し説明してみます。
 まず分かりやすいようにあることばを提示します、何でもいいのですが、たとえば「にわとり」にしましょう。このことばを聞いてわからないという人はまずいないと思います。軽度発達障害児の中でも小学生以上の子どもなら、知っている子どもが多いと思われます。それで、通常の子どもと軽度発達障害児との差が出てくるのは、これ以後の部分です。このことばについて連想できることばを挙げさせると、かなりの差が出てくると思います。通常の子どもであるなら、「タマゴを生む、とり、羽がある、足がある、歩く、コケコッコーと鳴く、動物」ぐらいのことばはすぐに出てくるのではないでしょうか。もう少しすすんだ子どもなら、「はと、カラス」などの鳥の仲間や、「ハトやカラスはとぶけど、にわとりは飛ばない」等という子どもも出てくるかもしれません。もっと広い「動物」という観点からのことばも出てくるかもしれません。しかし、軽度発達障害児の場合はどうでしょうか。「にわとり」ということばから、これほどたくさんのことばを連想することができるでしょうか。なかなか難しいというのが実際ではないでしょうか。例えば「たまご、とり」ぐらいのことばが出ればいい方ではないでしょうか。
 こういった状態では、「子どもが にわとりを おいかけました。にわとりは はねを ばたばたさせて、はしって にげまわりました。」といった話を聞いたり読んだりしても、なかなか具体的なイメージがわいてこないのではないでしょうか。そうすると、この話の中から適切な状況は把握できません。例えばこの文のあとで、「にわとりはどう思ったでしょう。」というような問があって、答えられる子どもは少ないと思います。知らないことば、知らない事柄についての理解というものは一般的に見ても低いということがいえますが、その知っていることばが少なければ、理解力もどうしても劣ったものとなることは自明のことでしょう。

 さて、軽度発達障害児のこのような状態から脱出する方法はどういうものがあるのでしょうか。まず第一にいうと、「見る力」を付けるということです。ことばにはそのもの以外のもそれに付随したことばが色々と付いています。これらのことばも、そのものをさすことばと供に記憶しなければなりません。つまりそのことばの持っている様々な付加情報を発見してそれもことばへ変換しなければなりません。それには、発見することが必要となってきます。この「発見」「気づき」のためには対象を漠然とただ「見ているだけ」では達成されません。受動的に対象と接するのではなく、能動的に対象と向き合っていくことが必要なのです。そういった意味でも、前に申し上げた「見る力」は必要不可欠な力なのです。「見る力」は落ち着いて集中するためのレディネスであるばかりではなく、「ことばの力」を付けるためにもその重要なレディネスであるということができます。

 それでその見る力を養いながらことばの力を付けるための指導で使用しているのが、これらのプリントです。


3.考える力
レディネス
 さてことばの問題の所で出しました例の中で、
③言葉は知っていてもそれを説明できない
⑤色々なことを経験してもそれを言葉で表すことができない
⑥感想などを聞くといつも「楽しかった」という紋切り型の答えしか返ってこない。
等の問題とか
筋道の通った話ができない
作文を書けない
文の読み取りができない
等の問題について、考えてみたいと思います。
これらの問題の起こってくる背景にはひとつには2に挙げました「ことばの力」が弱いお子さんの場合にも起こってくることがありますが、しかし、「ことばの力」ついていると思われるお子さんにおいてもこのような状態が出てくることがあります。
 この事が起こってくる最大の要因は「文で考えることができない」ことが考えられます。感情に対して適切なことばが見つからないと、感情を表現することができないことは先ほど申しましたが、ただことばのみでは、相手に的確に伝えることができないことも事実です。また、ことばのみでの表現では、どうしても感情の強いことばにひっぱられて、表現が感情的なものにひっぱられる可能性があります。これは、コミュニケーションに支障をきたすことの要因ともなります。ここではやはり、考えを的確に進めそれを表すことが必要となってきます。
 ではその「考える力」をつけるのには、どう行ったことが必要となってくるのでしょうか。それには次のような力が備わっていることが備わっていることが必要最小限であるといえます。それは
①助詞を的確に使えること
②次に接続詞をうまく使えること
特に、①ができないと全くといっていいほど考えることができません。ですから私は、この事を実現するために、「一行作文」の指導に力を入れています。一行作文とは、まず、主語と述語がしっかりかけていること。そして次にいわゆる5W1Hを使った文が書けていることです。この事ができることで初めて、人間は自分の頭で色々なことを考えることができるようになるのです。
 ところがどうでしょう、軽度発達障害児はこの事ができているとはいいがたいのが現状ではありませんか。最初に例で挙げましたように、相手に伝わるように話すことができない。順序立てて理解しやすい形で話すことができないというのが特徴ではありませんか。こういったことが起こってくるということは、彼らの頭の中でも同じような状態になっていることが考えられます。つまり考え自体が混沌とした状態のなかにいつもあるということがいえると思います。
 さて、軽度発達障害児の「考える力」をここまで考えてきて、彼らのこの能力を引き上げてあげるのには、しっかりとした文で考える力をつけてあげることが必要だと思います。改めていいますが、それにはまず第一に主語、述語がはっきりと意識された状態で使えること、つぎに5W1Hが的確に使われていることが必要です。この2つの指導をしっかりすることで、「考える力」がついてきます。これらの、一番近道で確実な指導として「一行作文」があります。この一行作文で特に力を入れているのが、助詞の使い方をマスターするということです。もちろん、動詞や形容詞、形容動詞などはそれぞれあるべき場所が決まっているのですが、問題は名詞です。名詞はそのあとにつく助詞によって役割が変わってきます。ですからこの助詞の働きをしっかり抑えた指導が必要となってきます。

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